まず、昨日の投稿へのお返事ありがとうございます。

自毛植毛は有効とのことで取り敢えず安心しました。

一度、早まってレーザー脱毛をして失敗しておりますので日本で行われていない治療についても知っておきたいのですが、部分的毛包単位採取法、現在は毛包幹細胞移 植(HST: Hair Stem Cell Transplantation)という治療法について先生の意見をお聞きしたいです。

毛包を部分的に切り取ることで、移植元の毛髪を休止期で萎縮しているものは除き再生するため、ドナー数の問題を解消するそうです。

Y様

これは一種のクローン技術で毛包組織を培養で増やすことによってドナーが少なくてすむというものですが、私もこの件についていろいろとチェックしました。
10年ていどで実用化という某マスコミのコメントを耳にしたのですが、類似の研究は世界中で20年近く前から行われており、当時からずっと5年ていどで実用化可能と言われ続けて現在にいたっています。
なんだか狼少年のようですがいずれにしても少し時間がかかると考えて下さい。
現在でも男性のひらサイズ（150平方cm）までの面積のヘアの悩みは植毛によって十分な濃さが達成できると言われています。

院長　今川

10代の頃に抜毛症で抜いたり生えたりを繰り返していて、抜毛症が治まった後に育毛剤なども使用しましたが抜いていた部位がまだらに生えるようになり悩んでいました。

そこで、いま考えるととんでもないことをしたと後悔しているのですが、まだら状の部分をレーザー脱毛して整えることをしました。

レーザー脱毛を行った部位は幹細胞が破壊されていると考えられるのですが、このような部位に自毛植毛を行ってもやはり定着して生え換わったりという状態にはならないのでしょうか？

Y　様

ご投稿ありがとうございます。

レーザーや抜毛症のために脱毛した場所に対しても植毛は有効ですし、むしろ唯一の治療法だとさえ言えます。
ケガや手術の傷跡による脱毛も同様です。
某チェーンクリニックでそれらの状態に薬の注射（HARGやメソテラピー）やシャンプーなどの方法を勧められたという方がカウンセリングにお見えになり驚いたことがありました。
知らないで勧めたとしたら“何たる無知”知っていたのであれば“詐欺行為”だと思います。

院長　今川

今川先生。いつも掲示板を拝見しております。４０歳、男性、現在米国東海岸に居住しています。数年前に日本で植毛手術を一回他院で受けたのですが、仕上がりに満足しておらず、悩んでおります。もう一度受けようと考えております。そこで質問です。
ＹＯＫＯＢＩ様でお願いする場合、日本への一時帰国でお願いすることになります。その場合、何日の滞在が必要でしょうか？休暇をそんなに取れないため、短かい方がいいのですが。（最長でも１週間程度しかとれないため）。
また、そちらで手術をお願いできない場合、米国の現地の植毛手術という選択肢は検討に値しますでしょうか？言葉の問題はあまりありませんが、日本人と欧米人の髪質の違い、技術の違い、価格の違いなど、いかがお考えでしょうか？
先生は米国の事情にもお詳しいかと存じます。ご教示いただければ幸いです。

たか様

ご投稿ありがとうございます。
植毛の基本は人種を問わず同じですが、おっしゃるように私達日本人には独特の顔立ちや頭髪の特徴があります。
具体的には
・顔が平面的かつ大きめで頭骨の奥行きがなく、生え際は白人より少し低くフラット。結果的に植毛で生え際をつくるためのヘア数が多く必要となります。
・白人に比べてフォリキュラーユニットの密度が低く1つのフォリキュラーユニットあたりのヘア数も少なく、多くの株数がとりにくい。ただし一本一本のヘアが太く同じ本数ではボリュームはとれやすい。
・直毛で黒髪という特徴のために頭皮との色の対比が強く地肌が見えやすいので濃くしにくい。
・ドナー部の頭皮が厚く硬いため採取巾をとりにくく、ケロイド体質の人が白人より多い。
などです。
手前みそになりますが、我々のヘアの特徴とそれに対応した“技術的な戦略”について“Hair Restoration Surgery in Asians”という英文の医学書を執筆し最近出版されました。

一般論でいえばアメリカの植毛医の平均的技術レベルの方が日本のそれより高いと言わざるを得ませんが、同等の経験の医師であれば日本人をより多く手がけているという面で、日本で施術を受けられた方が安心だと思います。

価格についてはグローバルスタンダードという面でたしかに日本のクリニックの平均的な価格が高すぎます。
以前某チェーンクリニックの費用が高いので、アメリカの関連クリニックに施術のために渡米したところ日本のクリニックの費用と統一性をとるために通常は1株あたりの費用5ドル程度だったのが7ドルに引き上げられたということを耳にしました。
現地の方と日本から出かけた方の費用が違ってしまったのはアンフェアなことです。
当院では欧米と比較してそれほど差がないように設定する努力をしてきたのですが、競争の論理で他のクリニック治療費がなかなか下がらないのが実情です。

院長　今川

有難うございます。
先生のクリニックでのFUEとはSAFE法ですか？以前先生がモーターパンチ法と言っていた方法になるのでしょうか？
前頭部植毛した皮膚が所謂ピットスカーぽいということです。そこを坊主にした場合見た目がどうなのかな？という質問でした。
ご丁寧にお答え頂き非常に嬉しいです。
某クリニックの掲示板は都合の悪いことを掲載しませんし、簡単に投稿も出来ませんが、先生のクリニックはそんな事がないので非常に安心感があります。

田中　様

ありがとうございます。
当院では数種類のモーターパンチの用意もあるのですが、マニュアル式のSAFEを主に行っています。
初めてFUEの講習をアメリカで受けた時にSAFEだったのでどうしてもそれがやりやすいと感じています。
ただ少々時間がかかるのが難点ですが。

移植毛の根本がへこんでいる状態がピット、その逆がテンティングという状態ですが当院も含めて以前の手術ではピットが多かったと思います。
坊主頭で植えつけ密度が低くても案外平気ですがピットがあると少し違和感が出るかもしれません。

院長　今川

有難うございます。こちらの病院でもダイレクト法は可能ですか？また、前頭部に植毛していますが、やはり植毛した場所が少しういている箇所があります。また、前頭部に密度が低い状態なのに坊主にするのは見た目悪くなるのでしょうか？
先生は前頭部に植毛した人が数年後前頭部を坊主にした人を見た事はありますか？ある場合の感想を教えて下さい。
また、ドナーの傷に植毛の件ですがうまくいったとしても坊主には出来ないレベルですか？いいところ1センチほどの短髪ということでしょうか？
色々と質問ばかりですいません。

田中　様

移植毛をあまり多く必要としないケースにはFUEを行っています。
ただまず現状を拝見させて下さい。
そしてはじめからFUEか？まず切除縫合して瘢痕を縮めるべきか？を検討させて下さい。
いずれにしても瘢痕は他の皮膚と比較して色がテカテカして白っぽい事が多いのでやはり坊主頭にはしにくく、１�pが良いのかは分かりませんが少し伸ばした方がいいと思います。

生え際については“植毛を受けると坊主にすると見た目が悪くなる”とは思いませんし、同様のケースも多く目にしています。
“植毛した場所が少し浮いている箇所”というのがいまいちイメージできません。
もう少し具体的に教えて下さい。

院長　今川